ガン

ガン細胞の恐るべき特徴

浸潤や転移するガン細胞

ガンには原発部位(最初にできた場所)からその周囲に向かって連続的に広がっていく特徴があって、このことを浸潤(しんじゅん)といいます。

普通、正常な細胞が分裂する時には、それぞれの細胞を構成している組織や臓器の範囲を越えないよう体内でコントロールされているのですが、ガン細胞の場合はそれに構わず、どんどん分裂や増殖をしていきます。

さらに、ガンの一番恐いのは、転移を繰り返していくところです。周囲の臓器や組織を破壊しながら進行していくガン細胞は、次に血管やリンパ管を攻撃します。全身に行き渡っているパイプの役割の血管やリンパ管にガン細胞が入り込むと、当然、ほかの臓器や組織にも移動してしまうことになります。

ガンはこのように血液の流れによって転移を起こすので、肺ガンから脳へ転移したりと、原発部位から距離の離れた場所にもできます。そして、転移した先でもガン細胞はつぎつぎに増殖していきます。

新たに作った血管から栄養を奪う

ガン細胞は周囲の正常な細胞から栄養を奪いながら成長していくのですが、ガン細胞がたくさんの栄養を欲するのは、細胞分裂するのにとても多くのエネルギーと栄養が必要になるからです。ですから、ガン細胞に栄養を奪われた患者さんは、顔色が良くなかったり、やせ細っています。

個人差はありますが、ガン細胞が直径1ミリ程の大きさに増殖するのには、およそ2~3年かかるとされています。そして、分裂を繰り返しながら増殖したガン細胞は、2ミリを越えるくらいになると、周辺にある毛細血管を引き込むのです。毛細血管を利用して周囲の正常な細胞の栄養を奪って成長し、増殖していくこの状態を『血管新生』といいます。

ガン細胞に引き込まれた血管は、ガン細胞が増殖するのに伴いその周囲にまで広がります。こうしてガン細胞は栄養の補給路を確立し、周囲の正常な細胞まで侵していくのです。

このように、ガン細胞は周囲から栄養を奪い自身に取り入れていく、とても恐ろしい存在です。

ガンを消滅へと導くフコイダン

フコイダンは、水溶性食物繊維(粘質多糖類)の一種で海藻独特のぬめりを持っています。20世紀のはじめ頃に昆布のぬめり成分のひとつとして発見され、20世紀の終わり頃には日本癌学会で、昆布に含まれるフコイダンがガン細胞に働きかけガン細胞を自殺させる現象を起こした、と発表されました。この現象はアポトーシスといわれますが、ガン細胞だけに働いて正常な細胞には影響をほとんど与えないことも明らかになっています。つまり、抗ガン剤などの標準治療で起きてしまう副作用が、フコイダンでは起こらないということです。こういった成分が、私たち日本人が昔から食べていた海藻類から発見されたのです。

現在では、フコイダンについての研究や実験が多くの研究者により進められていて、ガン細胞を抑制するほかにもさまざまな働きがあることが明らかになりました。代表的なものでは、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、抗ピロリ菌・抗潰瘍作用、免疫賦活作用、血液凝固阻止作用、血糖上昇抑制作用などが挙げられます。このようにたくさんの機能性を併せ持っているフコイダンなので、とても期待されています。

私たち人間の体は約60兆個にもおよぶ細胞で構成されています。時間が経過して古くなった細胞は死に、新陳代謝によって新しい細胞に入れ替わります。人間の体内にある細胞がすべて入れ替わるのにはおよそ6ヶ月くらいかかるといわれていて、それぞれの細胞にある遺伝子の情報は、自然に、一定の時間が経つと細胞が死ぬようプログラムされているといいます。こうして、自然に細胞が死んで消滅することはアポトーシスと呼ばれます。自殺を意味することから、細胞自殺促進作用ともいわれます。このアポトーシスという現象は、どの細胞や遺伝子にも組み込まれている現象で、これによって細胞は周囲には影響を与えずに自然死します。しかし、正常な細胞が変異してできたガン細胞は、残念ながらアポトーシスを起こさず、ほかの正常な細胞から栄養を奪って無限に増殖し続ける不死身の細胞なのです。そこで力を発揮するのがフコイダンで、ガン細胞のみに的をしぼり、ガンを自殺に導かせる力を持っています。

フコイダンがガンの増殖を抑制する

アポトーシスについて少し触れましたが、フコイダンの作用はほかにもあります。それは、フコイダンが白血球の成分に働きかけて、ガン細胞に対抗できるほどの免疫力を高めることです。また、ガン細胞は血管を媒介にして正常な細胞から栄養を奪い増殖していくため、新たに自ら血管をつくる機能がありますが、フコイダンにはそれを妨げる血管新生抑制作用もあります。これらが、フコイダンのガンに対する働きで解明されているものです。これらの相乗効果によって、ガンに対して驚くほどの威力を発揮します。

従来のガンの治療法

患者への負担が大きいガン治療

現代社会では日本人の二人に一人がガンにかかり、いまやガンで亡くなるのは当たり前の時代です。そこで、いかにガンの予防をするかが大事なのですが、いざガンになってしまった時に、できるだけ良い治療を受けてガンが進行するのを抑制することが大切だといえます。

ガンになると体内ではガン細胞が次々に増殖していき、私たちの身体をむしばんでいって、最期に死に至ります。ガン細胞が成長するのをできるだけ早く止め、体内で死滅させるか、手術してそれを取り除くかがガンを治療するうえでの重要なポイントです。

一般に病院で行われる従来のガンの治療法(標準治療)には、放射線療法と化学療法、外科手術の3つがあります。ひとくちにガンといっても発生した部位や大きさ、進行状況によってもそれぞれ性質が違いますので、様子を見ながら治療法を選択していかなければなりません。

こういったガンの治療法については昔と比べるとかなり進歩はしていて、患者の生存率は上昇しています。しかし、道のりは厳しく、患者が抱える心身共の大きな負担は変わりありません。放射線療法や抗ガン剤などを用いる化学療法では、よく知られているように副作用が起こります。患者は吐き気をはじめ、食欲不振、倦怠感、脱毛、下痢など全身がさまざまな苦しみに襲われます。それなのに、ガンは小さくならず、長い間副作用で苦しむだけで効果が何も得られないという状況も現実にたくさんあるのです。

従来の治療法は問題多々

現在広く行われている標準治療ですが、いくつか問題点もあります。
外科手術は患部を切除して治療する方法で、可能な患者には最良の選択です。ただし、切除できたとしても体内にガン細胞が残っている場合には数年で再発する可能性があります。そして、ガンが発見された段階で既に手術不可能な場合があり、早期でも転移があれば手術対象外のこともあります。手術ができても予後が悪くなることもあるので、100パーセント安心できるわけではありません。

放射線療法は、患部に放射線をあてガン細胞のDNAを変化させ殺す方法です。これは、手術との併用またはもう手術できない状態に行われます。患部への照射でガン細胞を殺すことができるのですが、周囲の正常な細胞にも影響を与え、患部がただれたり、血管がもろくなるなどの副作用が起こります。

抗ガン剤などの化学療法は、ガンができた部位と全身に散らばったその他の部位にも効かせます。抗ガン剤を服用したり、注射や点滴をしてガン細胞を攻撃します。しかし、放射線療法と同じく、正常な細胞まで攻撃してしまい、脱毛や吐き気といった副作用があらわれます。そして、悲しいことに実際に抗ガン剤が効く割合は、1~2割ほどだといいます。どんなに辛い思いをしても、実際に投与してみないと効果がわからないのです。