上手なストレス発散を心がける
生活習慣の中で特に大事なストレスについてです。ストレスというのは、人によって感じ方が異なり、どのくらいのストレスが心身の健康にどう影響するかという一定の法則を示すことばできません。また、現代人特有のストレスも重なってとても複雑化してるのも事実です。
どのくらいのストレスが健康を害するのか?という問題に関して、未だに数値化する術はありませんが、多くの方の食道・胃・大腸の状態はストレスによって内臓機能も大きな影響を受けているのが明確です。
人は、強いストレスを感じると、自律神経に乱れが生じます。胃腸のような臓器は、自律神経によって働きがコントロールされているので、精神的なストレスによって自律神経が乱れると、胃腸の動きもおかしくなります。仕事でストレスを感じると、下痢や便秘が習慣化している人も多いはずです。
たとえば、強い胃痛があり、胃潰瘍かなにかを発症しているのではと不安にかられて受診される方がいます。そういう方の胃を内視鏡で診てみると、胃そのものには異常はなく、胃が強く収縮してけいれんを起こした痕跡が内視鏡で確認され、胃痛の原因は胃粘膜の異常ではなく、胃のけいれんからきていると内視鏡検査によってわかるということがとても多く見受けられます。
一方、胃もたれや胃の不快感、ゲップが多いと訴える人では、胃の動きがはとんど止まってしまっているために、胃の不快症状が起きていることもよくあります。どちらも自律神経の乱れ、つまりストレスやメンタル的なことによる胃の動きの異常に伴う症状のことが非常に多いということが、内視鏡検査を行うと一目瞭然です。
こういう場合は、内視鏡検査を行い、その画像を直接、患者さんに見せて「胃の粘膜に大きな異常はありません。ストレスなどによる胃の動きの問題ですよ」と説明すると、それだけで安心し、悩んでいた症状がすっかり消えてしまうケースも多々あります。
反対に、ストレスが原因と知らずに病気を心配して思い悩んだり、実際の胃の状態に合わない薬を飲み続けたりしていると、いずれ胃の粘膜にも異常が生じ、がんの引き金にならないとも限りません。
自律神経を乱すようなストレスの原因には、さまざまなものがあります。仕事の問題や人間関係のトラブル、家族の介護や育児、病気、経済的不安など、ストレスの種は多岐にわたり、これらすべてをなくすことは不可能です。
しかし、自分の受け止め方や行動を変えることで、自律神経を整えて、ストレスに対応していくことはできます。自分自身の考え方次第で、ざまざまな症状が改善することも多く目にしますし、医師と話をするだけで病状が改善する方も多く、メンタル的な症状は「心のあり方次第」ともいえるでしょう。
ストレスを解消し、自律神経を整えるには、好きな趣味やスポーツに打ち込むなど、なにかに没頭できる時間をもつのがおすすめです。他にも自然に触れたり、ペットと遊ぶのもいいですし、人によっては地域活動や異業種交流会などを通じて職場や家庭以外の人との交流をもつことが、よいリフレッシュになることもあります。
また胃痛の例のように健康面で不安を感じた時は、ひとりで悩まずに医療機関で相談してください。医師に相談して自分の体の状態や対処法がわかれば、不安が解消し、前向きな気持ちを取り戻せます。