ガンを消滅へと導くフコイダン

フコイダンは、水溶性食物繊維(粘質多糖類)の一種で海藻独特のぬめりを持っています。20世紀のはじめ頃に昆布のぬめり成分のひとつとして発見され、20世紀の終わり頃には日本癌学会で、昆布に含まれるフコイダンがガン細胞に働きかけガン細胞を自殺させる現象を起こした、と発表されました。この現象はアポトーシスといわれますが、ガン細胞だけに働いて正常な細胞には影響をほとんど与えないことも明らかになっています。つまり、抗ガン剤などの標準治療で起きてしまう副作用が、フコイダンでは起こらないということです。こういった成分が、私たち日本人が昔から食べていた海藻類から発見されたのです。

現在では、フコイダンについての研究や実験が多くの研究者により進められていて、ガン細胞を抑制するほかにもさまざまな働きがあることが明らかになりました。代表的なものでは、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、抗ピロリ菌・抗潰瘍作用、免疫賦活作用、血液凝固阻止作用、血糖上昇抑制作用などが挙げられます。このようにたくさんの機能性を併せ持っているフコイダンなので、とても期待されています。

私たち人間の体は約60兆個にもおよぶ細胞で構成されています。時間が経過して古くなった細胞は死に、新陳代謝によって新しい細胞に入れ替わります。人間の体内にある細胞がすべて入れ替わるのにはおよそ6ヶ月くらいかかるといわれていて、それぞれの細胞にある遺伝子の情報は、自然に、一定の時間が経つと細胞が死ぬようプログラムされているといいます。こうして、自然に細胞が死んで消滅することはアポトーシスと呼ばれます。自殺を意味することから、細胞自殺促進作用ともいわれます。このアポトーシスという現象は、どの細胞や遺伝子にも組み込まれている現象で、これによって細胞は周囲には影響を与えずに自然死します。しかし、正常な細胞が変異してできたガン細胞は、残念ながらアポトーシスを起こさず、ほかの正常な細胞から栄養を奪って無限に増殖し続ける不死身の細胞なのです。そこで力を発揮するのがフコイダンで、ガン細胞のみに的をしぼり、ガンを自殺に導かせる力を持っています。

フコイダンがガンの増殖を抑制する

アポトーシスについて少し触れましたが、フコイダンの作用はほかにもあります。それは、フコイダンが白血球の成分に働きかけて、ガン細胞に対抗できるほどの免疫力を高めることです。また、ガン細胞は血管を媒介にして正常な細胞から栄養を奪い増殖していくため、新たに自ら血管をつくる機能がありますが、フコイダンにはそれを妨げる血管新生抑制作用もあります。これらが、フコイダンのガンに対する働きで解明されているものです。これらの相乗効果によって、ガンに対して驚くほどの威力を発揮します。

注目される代替療法

抗ガン剤や放射線治療によって激しい副作用が引き起こされるため、がんの治療に対して、つらく苦しいものだというイメージをもっている人は多いでしょう。とても残念なことですが、現代の医学ではガンと闘うためには副作用とも闘わなくてはなりません。髪が抜けたり、吐き気をもよおしたり、著しく免疫力が低下しても、それほど効果はあらわれずに、医師からは手の施しようがないと言われてしまうことも普通です。一時的にガンが小さくなったとしても、それまでの治療によって免疫力が破壊されてしまい、再発してしまった時に身体が闘う力さえも奪われてしまいます。このように、治療によってガンを攻撃することができても、生きる力まで弱まってしまうのです。

そして、こうした理由から西洋医学が疑問視され、別の治療法が望まれています。期待されているのは、標準治療に代わる代替療法(だいたいりょうほう)です。代替療法とは、ガン細胞を直接攻撃するのではなく、身体の免疫力を高め自然治癒力を強化して、ガン細胞をやっつけようという治療法です。病院で一般に行われている従来のガン治療(標準治療)に付きものの苦しい副作用は無く、患者のQOLを高めることができる点では、とても高く評価されています。QOLとは、Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)=生活の質、つまり病気や障害を抱えている人が人間らしく、自分らしく、いかに満足した生活を送ることができるかどうか、を指します。

現代の標準治療は、西洋医学に基づき行われています。そして、西洋医学では病原体を追い払うことができますが、自らの身体の機能の低下が原因となる病気に対しては苦戦を強いられています。特にガン治療では、抗ガン剤や放射線治療などを受けることで患者の免疫力が更に低下し回復が遅くなるので、免疫力を強化して病気に立ち向かう代替療法が注目されるのです。

ガンに対抗するには免疫力を強化する

代替療法のうちのひとつに、免疫療法があります。人間の身体に備わっている免疫力は、体内に侵入してきたガン細胞や病原体などを消滅させる大切な働きをしていて、これは、生きていくために自分自身を守るしくみなのです。ですから、免疫系の働きがとても弱くなると、重症な感染症やガンにかかり死に至ることがあります。免疫療法では、文字どおり体内の免疫力を高め、病気に対抗させるのです。

人間の免疫は、おもに血液の中にある白血球がつかさどっています。白血球には、マクロファージという細胞や、ナチュラルキラー細胞、T細胞(リンパ球)などがあってそれぞれに重要な役割がありますが、これらがガン細胞を攻撃してガンを消滅させるのです。

海藻類に含まれているフコイダンには、白血球中の成分の動きを活発にして、副作用を生まずにガン細胞への抵抗力をつける働きがあり、免疫療法の分野で注目を集めています。

従来のガンの治療法

患者への負担が大きいガン治療

現代社会では日本人の二人に一人がガンにかかり、いまやガンで亡くなるのは当たり前の時代です。そこで、いかにガンの予防をするかが大事なのですが、いざガンになってしまった時に、できるだけ良い治療を受けてガンが進行するのを抑制することが大切だといえます。

ガンになると体内ではガン細胞が次々に増殖していき、私たちの身体をむしばんでいって、最期に死に至ります。ガン細胞が成長するのをできるだけ早く止め、体内で死滅させるか、手術してそれを取り除くかがガンを治療するうえでの重要なポイントです。

一般に病院で行われる従来のガンの治療法(標準治療)には、放射線療法と化学療法、外科手術の3つがあります。ひとくちにガンといっても発生した部位や大きさ、進行状況によってもそれぞれ性質が違いますので、様子を見ながら治療法を選択していかなければなりません。

こういったガンの治療法については昔と比べるとかなり進歩はしていて、患者の生存率は上昇しています。しかし、道のりは厳しく、患者が抱える心身共の大きな負担は変わりありません。放射線療法や抗ガン剤などを用いる化学療法では、よく知られているように副作用が起こります。患者は吐き気をはじめ、食欲不振、倦怠感、脱毛、下痢など全身がさまざまな苦しみに襲われます。それなのに、ガンは小さくならず、長い間副作用で苦しむだけで効果が何も得られないという状況も現実にたくさんあるのです。

従来の治療法は問題多々

現在広く行われている標準治療ですが、いくつか問題点もあります。
外科手術は患部を切除して治療する方法で、可能な患者には最良の選択です。ただし、切除できたとしても体内にガン細胞が残っている場合には数年で再発する可能性があります。そして、ガンが発見された段階で既に手術不可能な場合があり、早期でも転移があれば手術対象外のこともあります。手術ができても予後が悪くなることもあるので、100パーセント安心できるわけではありません。

放射線療法は、患部に放射線をあてガン細胞のDNAを変化させ殺す方法です。これは、手術との併用またはもう手術できない状態に行われます。患部への照射でガン細胞を殺すことができるのですが、周囲の正常な細胞にも影響を与え、患部がただれたり、血管がもろくなるなどの副作用が起こります。

抗ガン剤などの化学療法は、ガンができた部位と全身に散らばったその他の部位にも効かせます。抗ガン剤を服用したり、注射や点滴をしてガン細胞を攻撃します。しかし、放射線療法と同じく、正常な細胞まで攻撃してしまい、脱毛や吐き気といった副作用があらわれます。そして、悲しいことに実際に抗ガン剤が効く割合は、1~2割ほどだといいます。どんなに辛い思いをしても、実際に投与してみないと効果がわからないのです。